2007年10月1日 (月) を振り返る

「アジアの歩き方」
鶴見良行のこの本は98年に出されたもので、僕もそのころに買って一度読んだのだった。再度、読む。著者は「バナナと日本人」でつとに有名だ。バナナは幹を持っているのではなく、いわば、大きな草なのだった。このことから言えば、ムーミン谷のムーミンの家の周りに熱帯植物の種を蒔いて一夜にして突然熱帯植物生えたのだったが、椰子の木のような幹にバナナがたわわになっている、という画像はウソだしバナナは種で発芽するものではなかった。ムーミンの童話のことはここでは問題ではない。たまたま、ムーミンの心温まるアニメを今日見たのだった(確かに白鳥英美子の主題歌はいい)。
日本のバナナはほとんどフィリピンの農園から来たものだ。特に、ミンダナオのダバオが主流だ。その昔、沖縄移民を中心とした日本人によって麻農園が開かれ、戦後に日本人がいなくなった農園にアメリカ系の大資本などがバナナ農園を開いたのであった。ちなみに、最盛期にはダバオには2万人の日本人がいたという。ミンダナオは大きな島で、そこから西にはスルー諸島があり、すぐにボルネオのサバ州につながって行く。かのダイビングスポットのシパダン島に連なる島々でもある。
シパダンの北方にはサンダカンがあり、カラユキさんとも関係していく。
とすれば、サバに残る日本軍などの足跡とダバオの農園が地理的イメージの中で繋がってくるのだった。
そして、そこは、イスラムの東端であり、バナナはイスラムとも繋がっているのであった。
バナナ農園で1キロ4円で働く人々のダンボール生活なども含めて僕らはこれらのことを決して忘れてはいけない。
現在のフィリピンの政情とそれへの日本の責任も含めて。
さて、今晩、僕は「チキータ」のフィリピン産バナナを1本食べた。「チキータ」はフィリピンの流刑地ダペコで受刑者を使用して作っている。だから安いのだ。